GALAXYの詳細説明
復活後、怒濤のペースで行われた国内外での数十本のライブを経て、またしても新たなるブルースメソッドを手に入れたキングブラザーズ。
新体制初の音源となる今作「GALAXY」は、彼らの作品がいつだってそうだったように、ラジカルで、エレガントで、日本の住宅事情を省みぬ爆音。しかし今回特徴的なのは、タイトルからも知れるように狭いスタジオから宇宙へと広がっていく神話のような、もしくは、四人が音の渦の中で経験したインナースペースへの旅の記録のような、アバンギャルドで憂鬱な読み物のような作品である事だろう。
一曲目の「ROCK」はタイトル通り、スタジアムロックのようなメジャーコードの大きなビートの作品。こいつから始まる壮大なブルージースラッシュへの旅の幕を引きちぎる爽快なナンバー。シンノスケのフリーキーかつ快楽主義的なベースが唸り倒している。「アホみたいな世界に住んでるんだからさ」とのたまうケイゾウ「まだ足りねぇよ、もっともっと!!」そしてタイチのグルーブは暴走する殺人ブルドーザーと化す。
二曲目は「DESTROY BOYS」。まさしく破壊的にヘビィなメインリフのループは聞く者の時間感覚をぐらぐらにさせながら鳴らされる。このトラックが終わる頃にはグルーウィーなブルースタイムとの時差にも知らず知らず慣れされているはず。途中のケイゾウとマーヤのギターカンバセーションにも要注意。耳をすませば、彼らの悪巧みが聞こえてくる。
三曲目「SPACE SHIP」でキングブラザーズはついに宇宙へ。すべてがつながっているのに孤独な真空の空間で、音が鳴っているとすればこんな感じだろう。そして、存在しない空気を震わせられる程デカい音を出せるバンドは、今地球にキングブラザーズしかいない。そう危険すぎる、後半の壮絶な狂犬マーヤのスクリームやタイチの暴力ブレイクビーツは必聴!まったく新しいキングブラザーズが此処に存在する。
そして旅の終わりは奴らの故郷兵庫県西宮で現地解散。ボーナスムービーの「NISHINOMIYAAA!!」はどこまでもリアルなキングブラザーズを目の当たりにできるスペシャルな仕上がり。シンノスケの至言、「家に帰るまでがキングブラザーズ。」その答えがこれを見ればわかる!YouTubeへのUPは厳禁、だが決して独りでは観ないで下さい・・
有能で最悪な四人のガイドと行くブルーストラベリングウィズアウトムービング。このガイドブックを手に入れたら、君たちは部屋のソファに座ってガイドの指し示す道に身をゆだねるだけでいい。すべては奴らの呼びかけに応答することから始まる。「こちらキングブラザーズ 応答願います」奴らの冒険はまだまだ続く(Text by eL toro)